【燻製は熟成】燻製の基本知識。燻製とは?燻製の効果と種類、現代の燻製、世界の燻製

【燻製は熟成】燻製の基本知識。燻製とは?燻製の効果と種類、現代の燻製、世界の燻製
この記事は約 13 分で読めます

燻製の基本を知る意味

本来、燻製最大の魅力は長期保存と熟成された風味です。

現代の日本で有名になった「鍋でオツマミ燻製!」は手軽に燻製を楽しむ素晴らしい方法だと思いますが、燻製の魅力を最大限に活かせているとは言えません

本来の燻製の役割を知ることで、下記のような「鍋でオツマミ燻製!」では出来ないことが出来るようになります。

  • 長期保存できるベーコンを一度にたくさん作り、1年くらい使う
  • 熟成された深い味わいのある本格的な燻製を作り、色々な料理で活用する
  • 作る回数が減って楽になり、味も安定する

そのために、元来、燻製と呼ばれている物についてこの記事で詳しく説明し、現代における燻製最大の魅力、「熟成」について知ってもらえたらと思っています。

筆者は2009年から燻製を作り続け、キッチンで10分あれば出来る燻製から大型のスモーカー(燻製器)を使った1か月かかる本格的な燻製まで、色々なレシピを考えています。
燻製が一般的でない頃から燻製教室を行って燻製を広めたりもしています。

燻製を始めた当時は家庭向けの燻製入門書籍も存在しなかったため、専門書を読んで調べていました。

燻製とは?

燻製とは、食材を燻煙することで保存性を高めると共に特有の風味を付加した保存食、またその調理法のことを指します。上の図のような工程があります。

燻製(くんせい)は薫製と書くこともあります。燻煙や調理法の工程をスモークと呼ぶこともあります。

食材は塩漬けした肉や魚を使います。下処理として行う塩漬けも浸透圧による水分量低下や水分活性の低下といった効果が期待でき、保存性がさらに向上します。

燻製を効果的に行うために、この後説明する燻煙を行う前に食材を乾燥させることが一般的です。

燻煙とは?

燻煙(くんえん)とは、木材などを燃やした煙をかける工程を指します。

木材を高温に熱した時に出る煙を食材に当て、煙に含まれる滅菌・抗菌作用を食材に浸透させる食品加工技法を指します。食材に含まれる脂肪の酸化を防ぐ効果もあります。

また、長時間の燻煙によって食材の水分量が減少することで起きる水分活性の低下により、さらに保存性が高まります。

香りの良いサクラやクルミ等の木材を用いることで、木材ごとに独特な風味付けをすることができます。

木材を完全燃焼させると煙が出ずに発火し、ススが発生してしまいます。そのため、燻煙する際は意図的に不完全燃焼する環境を作って煙が出るようにします。

燻煙には大きく分けて2つの方法があります。

1つはスモークチップと呼ばれる粉砕された小さな木材を熱して煙を出す方法です。

もう1つは、スモークウッドと呼ばれる木の粉を圧縮して固めた物に点火して線香のように煙を出し続ける方法です。

現代における燻製

燻製は、元々は肉や魚などの傷み易い食材を長期間保存するための加工技術でした。

しかし現代では、食品添加物によって防腐したり冷蔵・冷凍技術により簡単に長期保存が可能になりました。そのため、現代における燻製の意味合いは風味を与えることが主な目的として使われています。

ただし、風味を与えると言っても、燻製は熟成による深みが最も特徴的な魅力です。

日本で一般的となった、鍋を使ったお手軽燻製ではこの熟成の魅力はあまり味わえません

日頃スーパーで良くみかける燻製商品はベーコン、ロースハム、スモークサーモン、スモークチーズ、ウィンナー、ソーセージ、ビーフジャーキー、などです。

ここ5年くらいは、燻製風味のお菓子なども増えていますが、これらは香りの再現技術であり、本来の燻煙した食材とは全く別の物です。

世界の燻製

かつお節、いぶりがっこ:日本

画像元:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000106.000006899.html

日本の伝統的な燻製食品は「かつお節」「いぶりがっこ(秋田の伝統食品)」などがあります。

ベーコン、バックベーコン、ショルダーベーコン、カナディアンベーコン:アメリカ、カナダ、欧州など

ショルダーベーコン | 直販 - モクモクショップ

画像元:https://mokushop.jp/shop/product/detail/1001648

日本ではあまり区別されませんが、海外では豚肉の部位によって異なる呼び方をするのが一般的です。ベーコンの語源は背肉を指すBACKから来ているとも言われます!

  • ベーコン:豚バラ肉
  • バックベーコン:背肉または豚バラ肉
  • ショルダーベーコン:豚肩ロース
  • カナディアンベーコン:豚ロース

パンチェッタ・アッフミカータ:イタリア

パンチェッタとは?塩漬けした豚バラ肉を使った加工食品を詳しく解説

画像元:https://www.olive-hitomawashi.com/column/2019/02/post-4039.html

イタリアではパンチェッタが有名ですが、燻製されたパンチェッタをパンチェッタ・アッフミカータ(Pancetta affumicata)と呼びます。

良く間違えられる生ハムとの違いも書いておきますね。

  • ベーコン:塩漬けし、熱を加えて燻製した豚バラ肉
  • パンチェッタ・アッフミカータ:塩漬けし、熱を加えずに燻製した豚バラ肉
  • パンチェッタ:熱を加えずに塩漬けした豚バラ肉(燻製しない)
  • 生ハム:熱を加えずに塩漬けした豚モモ肉(燻製しない)

ベーコン以外のパンチェッタ・アッフミカータ、パンチェッタ、生ハムを作ろうと思った場合、熱を加えないため、塩分を多くして保存性を高めます。

さらに、商品として生産する場合、無菌豚と呼ばれる特殊な豚肉を使うことが一般的です。そのため、パンチェッタや生ハムを家庭で作るのはかなりハードルが高いです。

温度による燻製の種類

燻製は燻煙を行う温度の種類によって「冷燻」「温燻」「熱燻」の3種類に分けられます。

また、この3種類以外に食品加工業者が行う大量生産の方法として「液燻」があります。

冷燻

スモーカー内の温度を15~20℃に保って長時間燻煙する方法です。燻煙後の熟成も1週間以上は必要となります。

定義としてはこうですが、要は食材に火を通さないことが目的なので、火を通していなければ30~40℃でも冷燻と呼んでしまっている人もいます。

素材の水分が大きく減るので長期保存が可能です。保存が長く出来る物ほど硬い仕上がりになっている傾向があります。

長時間燻煙して熟成することで、温燻、熱燻には到底出せない、深い味わいを出すことが出来ます。

スモーカー内の温度を低く保つため、気温が低い冬場に作るのが一般的です。

難しいと思われがちですが、スモーカーや気温の条件さえ揃えば簡単な道具で出来、難易度も高くありません。

温燻

30~80℃で、数時間燻煙します。燻煙後の熟成は3日以上は行います。

食材の水分も比較的多く残り、ソフトで熱燻よりも深く熟成された燻製ができあがります。

季節を問わずできますが、外気温が低すぎると80℃まで上げるには1200Wの電熱器等が必要となり、設備のハードルが上がります。

燻煙中に食材の中心を63℃に保って30分加熱すれば一般的な食品加工の殺菌工程と同等の効果を得ることが出来、肉や魚でもかなりの長期保存が出来ます。

30~80℃を狙って保つというのは意外と難しく、特に63℃に保って30分加熱するにはサーモスタットと呼ばれる温度調整機構が必須になります。

段ボールで適当にやると温燻の温度帯になることが多いです。

熱燻

90~140℃で、10~30分ほどで素早く燻煙を行う燻製法です。熟成も不要で、表面の煙が収まるまで5分~10分程度置けば食べられます。

短時間で食欲をそそる色合いや香りを出せる手法ですが、保存性が悪いのでその日に食べるのが基本です。食材の中まで十分に浸透していないので、味の深みもありません。

焼肉を焼いて次の日まで保存しないのと同じで、時間が経つと風味が急激に劣化します。

熱燻の商品を市販している方も多くいらっしゃいますが、温燻や冷燻の商品の方が深い味わいとなることは間違いありません。

鍋とコンロで行う燻製は基本的に熱燻であり、この手法が2010年過ぎから日本で広まり、多くの方に燻製が知られるきっかけとなりました。

液燻(家庭向けではない)

燻製液で簡単スモークサーモン:とんがりおにぎり なんでも具~!

画像元:https://omusubi.ti-da.net/e4109178.html

燻液(いわゆる食用の木酢液)に食品を漬けて乾燥させる方法で、食品加工業界では広く用いられています。

10年以上前はスーパーのベーコンやスモークサーモンも多くは燻液が主流で用いられていました。

しかし本来の燻製より風味が劣るため、消費者が本当の燻煙の味を知ってしまったここ10年で、急速に無くなりました。

ただ、現在でも燻製風味のお菓子や、缶詰の燻製オイル漬けなどに使われています。

家庭向けでない液燻を除いて冷燻・温燻・冷燻の特徴を一覧にすると、下記になります!

冷燻温燻熱燻
燻煙温度15~30℃50~80℃100~120℃
燻煙時間数時間~1ヶ月30分~数時間5分~1時間
保存性
風味上品な風味深みのある風味香ばしい風味
その他特徴水分が少なく旨味が凝縮
食材に火を通さない
季節を問わずできる水分が多く残りジューシー

まとめ:現代の燻製最大の魅力は、熟成

この記事を読んで本来の燻製の意味から燻製が持つ最大の魅力、「熟成」について知ってもらえたら嬉しく思います。

「鍋でオツマミ燻製!」も素晴らしい方法ですが、もし色々な食材を鍋で燻製して飽きてきたら、温燻や冷燻による長時間の熟成を試してみることをおすすめします。

うまく行かなければ、お気軽に筆者のX(旧Twitter)@Kenshi2009までご連絡ください😊

燻製に用いるスパイスについて書いた記事もあります!

合わせて読みたい
image
【徹底解説】燻製におけるスパイス・ハーブの使い方まとめ スパイス検定3級を取得している筆者が、燻製に良く使うスパイス類をまとめました。普段はレシピ通りに使っていけばスパ……

本ブログで紹介しているレシピは熱燻が最も少なく、温燻や冷燻のレシピを多数公開していますので、是非下記のおすすめランキング記事もご覧頂けると嬉しいです♪

最後まで眺めて頂いてありがとうございましたm(_ _)m
おわり。

この記事を書いた人 Wrote this article

kenshi2009

燻製するフォトグラファー。燻製教室と写真撮影でお仕事したりブログ書いてます。燻製15年目🍖、写真24年目📷、ブログ24年目📓。EOS R6使用。 燻製も写真も季節を楽しみながらやってます🍂 写真の無断転載は禁止。奈良好き🦌 Twitterにほぼ毎日います!【SNS一覧:https://lit.link/kenshi2009】